「北の国から」ロケ地巡りを終え、チーズピザでお腹も心も満たされた私たちは、道の駅南ふらので一夜を過ごしました。
翌朝、地元の方々の井戸端会議に元気をもらいながら、次なる目的地「幾寅駅」へと向かいます。


🎥 映画『鉄道員(ぽっぽや)』の世界が息づく駅──幾寅駅の魅力
北海道の小さな木造駅「幾寅駅」は、高倉健さん主演の映画『鉄道員(ぽっぽや)』で終着駅「幌舞駅」として登場した、映画ファンにとっての特別な場所です。

実は私たちは、この場所を訪れるのは2度目でした。前年の家族旅行の際にも立ち寄っていたのですが、そのときはまだ映画を観ておらず、「へぇ〜、映画のロケ地なんだね」くらいの感想で終わっていました。
しかし今回は違います。事前に映画をしっかりと観てからの再訪。
物語の記憶を胸に、あの駅舎やホームに立つと、風景の一つ一つが深く心に響き、まるで映画の中に入り込んだような感動が込み上げてきました。

幾寅駅には、映画のために手が加えられたセットや装飾が今も丁寧に保存されています。
駅舎内には、撮影で使われた衣装、小道具、写真、出演者のサインが展示され、外には「だるま食堂」など映画に登場した建物もそのまま残されています。

北海道らしい2段勾配のギャンブレル屋根の木造駅舎は、昭和の面影を色濃く残し、映画の世界観を忠実に伝えてくれます。
当時の雰囲気を再現するため、あえて古びたように改装された駅舎の佇まいが、どこか哀愁を感じさせるのも印象的です。

さらに、2024年には幾寅駅を含む根室本線の一部が廃止され、駅は現役の役目を終えました。
今では鉄道遺構としても貴重な存在となり、ホームや信号機などが静かにその歴史を語りかけてきます。

映画の中で駅長・乙松が雪のホームに立つ名シーン──
その情景を思い浮かべながらホームに立つと、不思議と時間が巻き戻され、物語の続きを体験しているかのような気持ちに包まれます。
📽 映画『鉄道員(ぽっぽや)』のあらすじを見る(※ネタバレを含みます)
映画『鉄道員(ぽっぽや)』は、北海道のローカル線「幌舞線」の終着駅・幌舞駅を舞台に、鉄道員一筋で生きてきた駅長・佐藤乙松の人生を描いた感動作です。
乙松は、仕事に対する強い責任感から家族を犠牲にし、幼い娘・雪子や妻・静枝を失ってもなお、駅長としての職務を全うし続けてきました。
やがて幌舞線も廃線が決まり、乙松自身も定年退職を迎える年の正月、彼のもとに赤いランドセルを背負った少女が現れます。少女は駅に人形を忘れていき、翌日にはその姉と名乗る中学生、さらに翌日には高校生の姉が現れ、乙松と交流します。
実はこの三姉妹は、乙松が幼くして亡くした娘・雪子が成長した姿。娘は「成長した姿を見せるため」に父のもとに現れたのです。
乙松はこの再会を通して、仕事一筋で生きてきた自分の人生に、初めて救いを見出します。
物語は乙松の回想を交えながら進行し、家族への後悔や鉄道員としての誇りが丁寧に描かれます。 クライマックスでは、娘・雪子が「ぽっぽやだからしかたない」と父を許し、「ありがとう、お父さん」と伝えることで、乙松の心は癒されていきます。
物語のラストでは、乙松が雪の積もるホームで静かに息を引き取り、鉄道員としての人生を全うします。 その死は、家族への悔いと向き合い、心の救いを得た象徴的な出来事として描かれています。

🌸 季節は違えど、映画の面影が残る駅舎

映画の中では一面の雪景色でしたが、訪れたこの日は、駅のまわりに色とりどりの花が咲き、穏やかな空気に包まれていました。

いまでも駅舎には、健さんのために毎日お花が供えられているそうです。地元の方々の想いが感じられ、こころが温かくなりました。

今は季節が違えど、風の音、線路の先に続くまっすぐな道、駅舎のたたずまい……
そのすべてが、あの映画の記憶を呼び起こしてくれるのです。

💐 出会いとラベンダーのおくりもの

駅のまわりの花壇を手入れしていたおばちゃんに声をかけると、なんと当時の撮影の裏話なども聞かせてくださいました。
映画の裏側を直接知ることができる、贅沢なひととき。

別れ際、「また来てくださいね」と優しく微笑みながら、ラベンダーの花をひと枝手渡してくれました。
「旅のおともに」といただいたその花を、私たちは車内に飾ることに。

これから見るたびに、幾寅駅での心あたたまる出会いを思い出すことでしょう。

ラベンダーを手渡してくれたおばちゃんは、別れ際にこう言いました。
「この近くにかなやま湖ってところがあるんですよ。とってもきれいだから、よかったら行ってみて。」
やさしい笑顔と一緒に、その言葉を胸に刻みながら、私たちは再び車に乗り込みました。

おばちゃんのおすすめなら、きっと間違いないはず。
ラベンダーの香りがほんのり漂う車内で、「じゃあ、行ってみようか」と声をかけ合い、ハンドルを握ります。

偶然のようで、どこか導かれているようなこの旅。
次なる目的地は、静かな水辺が広がるかなやま湖です。
🏞 かなやま湖へ──ハプニングも思い出のうち
ラベンダーを手渡してくれた幾寅駅のおばちゃんが、「近くにかなやま湖ってところがあるから行ってみて」と勧めてくれた。
「すぐそこだよ」と言われたので、軽い気持ちで車を走らせ始めたものの──
……待てど暮せど、着かない。
ナビは一応セットしていたものの、なぜか進めど進めど湖らしき気配はなし。
「本当にこの道で合ってるの?」と不安になりながら、気がつけば走り続けて30分以上。
本来なら10分ほどで着くはずなのに、
ナビをよく見ると──なぜか見知らぬ湖(?)が目的地に設定されていたことが判明!
「どこ向かってたの?」「いや、そっちがナビしたでしょ?」
と、もちろん軽い小競り合いが発生(笑)

でも、その遠回りのおかげで、道ばたに鮮やかなラベンダー畑を見つけるという素敵なご褒美もありました。
せっかくだからと車を停めて、しばし花の香りと景色に癒やされるひととき。

さらに走っていると、道路わきに一匹のキツネがひょっこりと登場。

こちらをじっと見つめる姿がなんともかわいらしい……でも、絶対にエサはあげないこと!
人馴れしているとはいえ、野生動物との距離感は大切にしないとね。

そしてようやく、たどり着いたのが──本物のかなやま湖!

そこには、思わず息をのむような風景が広がっていました。


ラベンダーもたくさん咲いていて、湖ではジェットスキーを楽しむ人たちの姿。
その向こうには堂々とそびえる山々。

湖と空と花と緑が溶け合う、まるで絵の中に入り込んでしまったような光景。
ちょっと遠回りしたけれど、それも含めて大正解の一日になりました。
🌿 かなやま湖とは?──自然とラベンダーが彩る癒やしの湖

**かなやま湖(かなやまこ)**は、北海道空知郡南富良野町にある人造湖で、1967年に金山ダムの建設によって誕生しました。
周囲を深い森と山々に囲まれた静かな湖で、春から秋にかけてはキャンプや釣り、カヌー、ジェットスキーなどのアウトドアが楽しめる人気スポットです。
💜 ラベンダーと湖が出会う絶景

湖畔には南富良野町が手がけるラベンダー園があり、7月には色鮮やかな紫の花が湖と青空に映えて、まるで絵葉書のような風景に。
美瑛や富良野に比べて観光客も少なく、ゆったりとラベンダーを楽しめる“穴場スポット”でもあります。

🚤 湖ではアクティビティも充実

キャンプ場やオートキャンプサイト、カヌー乗り場、湖畔の遊歩道も整備されており、自然の中でのんびり過ごすのにぴったり。
夏場はジェットスキーを楽しむ人の姿も見られ、にぎやかな雰囲気になります。
🗺 どこか懐かしい風景と静けさ

山の稜線が湖に映り込む朝、風がやんだ水面に空が写りこむ夕方──時間によって表情を変えるかなやま湖。
北海道の雄大な自然を感じながら、日常の喧騒を忘れて心をリセットできる場所です。

遠回りしてでも訪れてよかったと思える、心が整う湖でした。
おばちゃん、素敵な場所を教えてくれてありがとう!
🚉 富良野駅──物語と自然が交差する“北海道の玄関口”
午前10時27分。旅の途中、私たちは富良野駅に到着しました。

ここは、ドラマ『北の国から』でもたびたび登場した、ファンにはたまらないスポット。
改札を抜けると、どこか懐かしい空気に包まれ、「へそ祭り」のにぎやかな場面がふっと思い出されます。

そんな富良野駅は、観光だけでなく歴史・文化・自然すべてが詰まった北海道らしさあふれる駅でもあるのです。
🗺 北海道観光の玄関口としての存在感

富良野駅は、ラベンダー畑や美瑛の丘など、美しい風景が点在するエリアへの拠点。
重厚感のある鉄筋コンクリートの駅舎と、整備されたロータリー、屋根付きスペースなどもあり、旅のスタートにぴったりの駅です。
🌿 豊かな自然と感動の車窓風景

富良野線や根室本線が乗り入れ、沿線には美瑛・中富良野・ラベンダー畑などが広がります。
夏には臨時駅「ラベンダー畑駅」が設置され、観光列車 富良野・美瑛ノロッコ号 も運行されるなど、季節ごとの特別な体験ができるのも魅力です。
🚉 駅の設備も充実&趣たっぷり

ホームは2面4線の広さがあり、有人の「みどりの窓口」や自動券売機、立ち食いそば屋なども。
かつては特急 おおぞら や急行 狩勝 も停車した歴史を持ち、
現在は夏季限定で観光列車 フラノラベンダーエクスプレス が運行されています。
🔌 本日は「充電日」──目指すは美馬牛のホテル
そろそろポータブル電源もお腹を空かせてきた頃。
人間も電気もそろって“充電”が必要ということで、今夜は**美馬牛(びばうし)**のホテルに泊まることにしました。
車を走らせていると、どこかで見覚えのある建物が目に入ります。
「あれ?この郵便局、なんか見たことある…?」

そう、ここは去年の夏、北海道でまさかのスピード違反をしてしまい😂
“てへぺろ”と反省しつつ納付した罰金を収めた思い出の郵便局。
まさかまたここを通るとは…!
って…2年連続罰金を支払うことになるなんて😭

「まさかまた来るとはね」「同じ場所じゃん(笑)」
と思わず二人で苦笑い&笑い泣き。
旅先の偶然って、不思議な縁がありますね。
🏨 ちょうど再開したホテルで、ゆったり宿泊

たまたま見つけた今回の宿は、なんと昨日から営業再開したばかりだったそうで、
本当にタイミングよく泊まることができました。まるで旅の神様に導かれたかのようです。

宿泊したのは二段ベッドが2台ある4人部屋。思っていた以上に広くて快適!
コインランドリーも完備されていて、旅の途中での洗濯もバッチリ。

お風呂は家族風呂のような造りで広々。ゆったりと足を伸ばして温まることができ、まさに癒やしの時間でした。
さらにホテルの方もとても感じがよく、あたたかい接客にホッと一息。

もちろん、充電もしっかり完了!
というのも、我が家には「ポータブル電源が切れそうになったらホテルに泊まるルール」があるんです(笑)
この日も例にもれず、ポタ電が赤ランプになりかけていたので、おとなしく宿を探しました。


そしてもうひとつ、今回の宿でスッキリしたことが。
旅の間に嫁(=私)の髪の毛がだいぶ伸びてきたので、旦那にバリカンで刈ってもらいました✂️
これがまた、なかなかの仕上がり!お風呂でサッパリして、髪もサッパリ。まさに“全身フル充電”完了です。

夜になると、窓の外に見える近くの駅のホームがぼんやりと光に包まれ、幻想的な雰囲気を醸し出していました。
街灯に照らされた線路と、小さな駅舎の静けさ──
どこか映画のワンシーンのようなその風景に、思わず見とれてしまいました。

旅の疲れを癒やすには十分すぎるほど、静かで穏やかな夜。
遠くから聞こえる電車の走行音も、まるで子守唄のように感じられました。
「また北海道に来たら、ここに泊まりたいね」
そう思える、素敵な一泊になりました。

宿泊施設情報|美馬牛ユースホステル
📍 基本情報・アクセス
名称 | 美馬牛ユースホステル |
住所 | 北海道上川郡美瑛町美馬牛南1丁目1-24 |
電話番号 | 0166-95-2141 |
チェックイン | 16:00〜23:00(美馬牛駅23:18着の最終列車までOK) |
チェックアウト | 〜10:00 |
設備 | 二段ベッドの4人部屋・家族風呂・コインランドリー・共同冷蔵庫・電子レンジ・Wi-Fi |
食事 | なし(外食または持ち込みOK) |
備考 | 全館禁煙/10:00〜16:00は閉館(荷物預かり可) |
※2025年7月現在の情報です。詳細は公式サイトをご確認ください。
✍️ 旅のまとめ|遠回りの先で、出会ったもの
旅は、予定通りにいかないからこそ、心に残るのかもしれません。
映画『鉄道員(ぽっぽや)』の舞台、幾寅駅で出会ったおばちゃんの笑顔。
手渡されたラベンダーと、「また来てね」という言葉が、胸にじんわりと残っています。
“すぐそこ”だと聞いたかなやま湖は、ナビの気まぐれでなかなか辿り着けず、
笑いながら少し険悪になりながら、ようやくたどり着いたその先に、
風に揺れるラベンダーと、山々を映す静かな湖がありました。
キツネに見つめられたあの道ばたも、忘れられないワンシーン。
夜、美馬牛の宿で迎えた静かなひととき。
窓の向こうにぼんやり浮かぶ駅の灯りが、なんだかとても美しくて──
「またこんな夜を過ごせたらいいな」って、思いました。
ポータブル電源も満タンに。
そして私たちも、心から充電できたような、そんな一日でした。
📝この記事は、私たちが2020年7月に実際に訪れた際の体験をもとに、当時アメブロで書いていた内容を再編集したものです。
最新の情報とは異なる場合がありますが、旅の思い出として楽しんでいただけたら嬉しいです♪
🚗 次回予告|あの景色に会いに行く。
富良野の旅はまだまだ続きます。
次回は、スカイラインのCMで一躍有名になった**「ケンとメリーの木」**を訪れたお話から。
「映像で見てから訪れると感動が違う」──まさにその言葉通りの景色が、目の前に広がっていました。
さらに、「親子の木」や「セブンスターの木」といった定番スポットにも立ち寄りながら、
「どこを見ても絵になる」富良野の魅力をたっぷりご紹介。
そして今回のハイライトは、パンフレットで見たことがある方も多いはず。
北海道らしさ全開の直線道路、**「ジェットコースターの道」**へ!
果てしなく続くまっすぐな道に、風、空、そして旅の思い出が重なる──
そんな景色をお届けします。
